EDDIE

ナイト・オン・ザ・プラネットのEDDIEのレビュー・感想・評価

4.0
ロス、NY、パリ、ローマ、ヘルシンキ…5つの場面それぞれのタクシー運転手と乗客の一幕を描くオムニバス映画。ウィノナ・ライダーの出ているロス編と盲目の女性を乗せるパリ編がお気に入り。

〈感想〉
今年『ちょっと思い出しただけ』という邦画が公開されました。
劇場鑑賞は逃したんですが、先日Amazonプライムで配信開始されたので観てみるとこれがズバズバと刺さってきて…でまだうまく感想がまとまらないので、こちらはもう一度鑑賞の上後日レビューを書こうと思います。

その『ちょっと思い出しただけ』が本作『ナイト・オン・ザ・プラネット』に着想を得て作られたとのこと。
共通点はタクシー運転手ですね。

本作はタイトルの通り、“地球上のとある夜”の出来事で、地球といえども色んなドラマがある。
しかも監督はジム・ジャームッシュなのだから、とんでもない急展開が待っている!とかそんなことはなく、人生のほんの1ページでも記憶に残るような、そんな夜の出来事を描いているというような作品です。

個人的には一発目の【ロサンゼルス編】がとくに好きで、自動車整備士になる目標がありながら日銭を稼ぐためにタクシー運転手をやっている若い女性コーキーが主人公。
彼女は相手が客であろうとも横柄な態度だし、とにかくお金を稼ぐために客を乗せてんだって感覚なのでサービス精神なんて微塵もありません。
空港で今回メインの乗客となるヴィクトリアとの出逢い方。この演出がすごく好きでした。
最後にヴィクトリアからある提案を受けるコーキーなんですが、彼女の返答や考え方が実に世間に媚びていなくて自分なりの考えを持っているって感じで良かったですね。

あとは3つ目の【パリ編】がお気に入り。
コートジボワールにルーツを持つ黒人男性がタクシー運転手。
そんな彼が乗せた乗客がアフリカ人男性2人。こいつらが口が悪い悪い。同じ黒人なのに運転手を見下していて、そりゃあ運転手もキレる。
そんな後に乗せたのが盲目の女性ですね。
先程のアフリカ人も含めこの映画の運転手や乗客はみんな口が悪い。この盲目の女性も例外ではありません。
しかし、運転手は彼女の言動が気になって仕方ないのです。何かを見透かされているような感覚。目が見えないけど、それ以外の感覚が研ぎ澄まされているから、ということでかなり核心をつくような発言をしてくるんですね。
このエピソードは人間が自分らしくあるということ、そして人種や性質など関係なく平等であること、いやそうあってほしいという願いが詰まっていました。
パリ編だけに限れば個人的にはスコア5.0満点です。

〈キャスト〉
【ロサンゼルス】
コーキー(ウィノナ・ライダー)
ヴィクトリア・スネリング(ジーナ・ローランズ)

【ニューヨーク】
ヘルムート・グロッケンバーガー(アーミン・ミューラー=スタール)
ヨーヨー(ジャンカルロ・エスポジート)
アンジェラ(ロージー・ペレス)

【パリ】
運転手(イザック・ド・バンコレ)
盲目の女性(ベアトリス・ダル)

【ローマ】
ジーノ(ロベルト・ベニーニ)
神父(パオロ・ボナチェリ)

【ヘルシンキ】
ミカ(マッティ・ペロンパー)
乗客(カリ・ヴァーナネン)
乗客(サカリ・クオスマネン)
アキ(トミ・サルミラ)

※2022年自宅鑑賞111本目
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