西部劇でよくある善と悪の対立ではなく、どちらかというと反西部劇的で現代に近い東部の考え方、古い男らしさが残る西部の考え方の対立がメイン。そのため東部の男目線の画面は上品で格調高く、ロケなのに造られたような自然の風景は美しいが砂の匂いがしない。
グレゴリー・ペックは西部の生き方に反発し誰も血を流さない方法を模索するも、最後は「終わらせるために流さないといけない血もある」というある意味で西部に呑まれたような結論に達する。両サイドの埋まらない溝はグレゴリー・ペックとジーン・シモンズの黒髪、キャロル・ベイカーとチャールトン・ヘストンのブロンドの髪色が示唆しており、土地や生まれはもうどうにもならないというような諦念を感じさせる。
ジジイの土地争いで160分は長いと思いつつも、こういった知らない人の細々したエピソードが無限に続いて今のアメリカがあるのかと思うと感慨深い、とアメリカ人は思うのかな。