ユカートマン

デヴィッド・バーンの トゥルー・ストーリーのユカートマンのレビュー・感想・評価

3.7
今やアメリカンユートピアで再び名を馳せることとなったトーキングヘッズのデイヴィッド・バーンが監督・出演した、実際のタブロイド誌に載っていたゴシップ(15年間口を聞いてない夫婦など)をテキサスの架空の都市バージルを舞台に再現した浮遊感たっぷりでシュールで奇妙なゆるゆる社会風刺コメディ。モキュメンタリーやミュージカル的な要素も。デイヴィッドバーンガチ勢のため円盤購入。

バーン氏がこの映画の上映と同時に出版した著書True Storiesの序文で書いたという「撤退した帝国ーエジプト、ローマ、イギリス、日本、スペイン、そして現在のアメリカーは想像している自分たちの存在や想像していた自分たちの存在に強烈なプライドやノスタルジアを抱き始める。それが失われていくものだと自覚的だから」という言葉もこの作品を理解する上で重要なのではと思った。ベッドから出る必要がないぐらい金持ちな女、パンダの体型を維持する結婚に執着した中年男性、50組の双子の赤ちゃん、人の電波が聞こえるラティーノなどキャラが濃いが、カウボーイハットを被った若いバーン氏のキャラも彼らに負けず、そして美しい。スティーブ・ジョブズがアップル元社長としてセリフに出てきたり、MTVっぽさを感じるシーンが80年代という時代を感じて面白い。アメリカンユートピアの最後のシーンからお分かりいただけるように自転車が大好きなバーン氏によるBicycle Diaries(自転車日記)というエッセイを現在読んでいるが、内容はタイトルと関係ない世界各国をツアーなどで訪れたバーン氏による都市の考察で、この映画でもバージルという架空の都市やテキサスに対する考察に考察を重ねるナレーターにより同じことが行われてる。本作でバーン氏は自転車ではなくオープンカー乗ってるが。はっきりとした起承転結もないが、田舎の信仰深い人たちを馬鹿にするわけでもなく、全体的に優しくて緩い雰囲気。ルイスが引きこもりおばさんを尋ねに行くシーンで部屋にあった淡いスーツを来てたり美術に造り込みを感じる。Wild Wild Lifeをリップシンクするパーティのシーンが可愛くて好きだった。てか非モテのルイスはビッグリボウスキの人だったのか!!


2021年5本目
ユカートマン

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