少女と犬のロードムービーだと思って気楽に借りたら、思ったのと違い、その場から動くことができない閉塞感のあるロードムービーでした。
職を求めてアラスカに向かうウェンディは、途中の町で車が故障し、立ち往生をくらう。お金もなく、寝る場所もない。愛犬のルーシーまでいなくなってしまう。
もはやホームレスのような暮らしの中、愛犬のルーシーを探す日々。唯一、警備員のオジサンが親切にしてくれるのが救いだった。
主人公もお金がないが、頼ろうとしたお姉さん夫婦もお金がない。最後にオジサンが好意でくれたお金もわずか数ドル。オジサンの暮らしもラクではないのだ。この町自体も貧困であることが、会話のはしばしで伝わってくる。貧困であることの道なき道なのだなぁ。切ない。
漂う閉塞感。まったく笑わないウェンディが1度だけ笑顔を見せたのは、探していたルーシーと再会した時だけだった。
主演は「マリリン7日間の恋」のミシェル・ウィリアムズ。ずっと10代後半だと思って観ていたら、当時27歳とのこと。ノーメイクでお風呂に入らず演技していたそう。本当のウェンディにしか見えなかった。
日本未公開でわずか80分ほどの淡々とした小品だけど、ムダのない脚本とリアルな演出でとても引き込まれた。
この監督、すごい。