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ウェンディ&ルーシーのmのレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
5.0
ずっと観たいと思っていた映画。凄く良かった。大好きだった。冒頭、電車の横移動のシーンからウェンディとルーシーが歩いてる横移動のシーン、もうここが素晴らしくてそれだけでああこの映画大好き…。となった。ロードムービーというかその中のほんの少しを描いた80分のシンプルな話。大きな社会の中の一人の女性の小さな物語。一人で鼻歌を歌って相棒の犬と生きている。

ウェンディに対して親切な人も皆、当たり前だけどその人の人生に責任を負えるほどの親切ではない。車の修理屋のおじさんも悪い人ではないけど、当たり前に、普通にお金を請求する。万引きをしてしまったウェンディを店長に突き出し執拗に追い詰めたあの店員だって嫌な奴に見えるけど普通のこと。「餌が買えないなら犬を飼う資格はない」って言っていたのだって普通のこと。

ウェンディのお姉さんも余裕がない。皆にも生活があって、生きている。

皆の態度にムカついていたけどそれを考えたら普通だよな、自分に余裕がなかったら偽善さえできないよ。と思った。

だからこそ警備員さんが最後にしたあの行為にはめちゃくちゃ泣けてしまった。説明や台詞にはないけどチラッと映った警備員さんの車はへこんでいた。それを修理していないのだから警備員さんだって余裕があるわけではないのだと思う。損得勘定なく見返りも求めずに行った優しい行為だった。

「家や仕事を得る為には家や仕事が必要」というような台詞に色々考えてしまう。

そしてウェンディの最後の選択に号泣してしまった。いつかまた一緒に暮らせるようになればいいな。

自分に才能とセンスがあったらこんな映画を撮ってみたいなぁ。こんな映画が1本でも撮れたら幸せだろうなと思う映画だった。
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