ベンジャミンサムナー

激怒のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

激怒(1972年製作の映画)
2.5
 主人公の息子が病院に担ぎ込まれてから死亡するまで、その上で息子が解剖されたことを主人公が認知するまでが長い!

 息子の死体が切り刻まれる描写を直接できないにしても、例えば解剖器具やそれによって切り刻むSEだけでも強調して描けば、息子の遺体を見た主人公のリアクションがより活きてくるのに。
 
 牧場営んでる主人公がやたら銃や爆薬の扱いに精通してるのも唐突に感じる。

 こういう話だと、体制側だけど主人公を気にかけてくれて両者の間で板挟みになる立ち位置の(『テルマ&ルイーズ』におけるハーヴェイ・カイテル的な)人物がミソになってくるけど、その存在が極めて希薄。

 ちょいちょい挟まるスローモーションも上手く機能してない。

 俳優であるジョージ・C・スコットの監督デビュー作であり、政府に対する個人の無力感を描いた内容と72年という年代からして、デニス・ホッパーの『イージーライダー』を目指したんだろうけど、アメリカン・ニューシネマのなりそこないに終わってしまった。