歩葉戸路素

ヤコペッティのさらばアフリカの歩葉戸路素のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

高校の時見て以来オールタイムベスト入り大傑作モンド映画!
全編目眩がするほどの破壊、狂気、密猟、差別、虐殺…
悲惨美の全てをブチ込んだ大スペクタクル!!
当時これ観てトラウマになって人間嫌いと人間不審になってしまった(今でも)

本物の死体や殺人映像が山ほど流れるので耐性ない人はめちゃくちゃキツいと思う

白人による植民地時代を終えた近代のアフリカ大陸が舞台
アフリカ大陸はかつて動物と自然が豊かで優雅な世界だったが、白人が持ち込んだ近代文明により全て崩壊
そして自国が切羽詰りアフリカを切り捨て何も援助せずとっとと引き上げてしまった欧米人たち
ずっと白人ルールで支配されていた近代兵器と知識を持った原住民が
いきなり『自由』を与えられたらどうなるか?
元の優雅なアフリカに戻る?
…そんなわけない
そこには『混沌』が待っていた

・地平線の彼方まで散乱する人間と動物の腐乱死体
・遠慮なく行われる残虐な動物密猟
・怨恨を持った原住民に一家皆殺しにされる白人家族
・差別と逆差別
・砂漠のど真ん中で自分の死刑の番が来るのを待ち続けるイスラム人の大行列
・あてもなく彷徨うジプシー族
・切断された腕の山
・白人による黒人大虐殺
・アパルトヘイト
・血で血を洗うゲリラ戦

これでもか形式で行われる
『人間性の消失』
人間や動物がゴミのように処理されていくのがヤバイ
この映画を観ても『反戦』的な思想は湧かないと思う、だってこれはもはや戦争でもないから
ただの生産性ゼロの『虐殺』
人間という凶悪な動物への絶望感しか湧かない

ただヤコペッティ映画なのでブラックユーモアに溢れていて悲壮感なく見れるのが良い
現代の服を着てる原住民が白人の前だけでは『アフリカっぽい衣装着てアフリカっぽい音楽を奏でる』シーンとかめっちゃ好き
それと映像が美しすぎる
夕焼けをバックにヘリコプターで吊らされて空を飛ぶシマウマの子供のシーンとか
映画史上ないほど感動的な悲惨美!
(ヤラセだから何だ!?💢)

ラストは南極から何百年もかけて南アフリカの『喜望峰』へ移動したペンギンの映像でフィナーレ
荒波の中必死に生きるペンギンと人間がシンクロするような演出が凄く感動的だった!

あと幽遊白書で『黒の書』という
「今まで人間が行ってきた罪の中でも最も極悪で非道のものが映ってるビデオ」
があるが、絶対このさらばアフリカが元ネタだと思う!笑笑笑
人間嫌いになる仙水の気分が味わいたい人にもオススメ

今でも全く解決してないアフリカ問題の先駆的な映像
『本当に凶暴な動物は一種類しかいない『人間』である』
歩葉戸路素

歩葉戸路素