パリ、テキサスのkenkenのネタバレレビュー・内容・結末

映画を観ているなあ、と感じる。映写機でフィルムを観るシーン、鏡越しに夫婦が対話するシーンが特に素晴らしい。ゆったりと時間を掛け、撮影や編集や色調や演技でじわじわと心の機微を観客に訴えかけて来る。映画的快楽がそこにある。

物語は決してハッピーエンドとは言えない。主人公や弟夫婦は勿論、再会した母子にも困難が待ち受けている事は容易に想像がつく。
それでもこの映画には、やるせなさを感じつつも結末を受け止めさせる説得力がある。じっくりした描写の積み重ね。