しげる

パーフェクト ワールドのしげるのレビュー・感想・評価

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
3.7
率直に言うと非常に切ない。
これだけ鑑賞後にモヤモヤする映画は(いい意味で)珍しいかもしれない。

脱獄犯ブッチと何の因果か人質としてさらわれたフィリップ少年。
二人の関係はすぐにそれとは別の物に変異する。

父親の愛情に飢えるフィリップ少年には、犯罪者でありながらも知的(IQは登場人物で1番)で勇敢で行動力に満ち溢れたブッチに、理想の父親像を重ねいく。しかしそのブッチの行動は善人と悪人を行き来する振り子のようなもの。そんな中それを見ているフィリップ少年も盗人の一員になってしまうんですね。人の心なんて本当に流されやすいものです。

ブッチは子供虐待に対して非常に嫌悪を抱いている事が伺えます。自分の幼少期に同じ思いをしたのでしょう。だからこそフィリップ少年を実子のように可愛がります。しかし、それ以上に重罪の窃盗、詐欺、しまいには殺人を犯しています。善悪の物差しが少し一般的なものではないのだと思います。

この映画は見ているとブッチって『ええ人やん』と『結局悪人やん』という感情を行き来する振り子を見せられている映画であると言えます。その感覚がブッチの振り子とリンクしてのめり込んでいける映画だと思います。

最後ポケットから○○を取り出すシーン
『ちょっと待てーーーーーーっつ!』と登場人物たちと一緒に叫んでしまいそうになりました。

率直に言うと非常に切ない。
これだけ鑑賞後にモヤモヤする映画は(いい意味で)珍しいかもしれない。
しげる

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