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雲がちぎれる時のTagTakのレビュー・感想・評価

雲がちぎれる時(1961年製作の映画)
4.5
有馬稲子の転落劇を歯切れの良いテンポを交えて丹念に掘り下げていく回想シーンが抜群に上手い。看護婦の面接を受けに病院へ行ったら手篭めにされそうになったのを、“病院でサンダルをはく足のショット”→“逃げ出して靴を履き直す”のジャンプカットだけで示すスマートな演出が逸品。
要所要所で挟み込まれる、路線バスが峠の崖っぷちを走行するシーンは、崖スレスレを走行しているのをローアングルで撮ったり、バスの主観ショットを早送り気味にしてみたりと、何も起こっていないのも関わらず常に緊張感を孕んでいる。ハラハラしながら観ていたら、ラストがまさかのクルーゾー版『恐怖の報酬』で開いた口が塞がらない。
愛する女性に対する幻想を粉々にされ闇堕ちする佐田啓二を守護天使のように見守る伊藤雄之助のバイプレイヤーぶりも見事。
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