あんじょーら

キック・アスのあんじょーらのレビュー・感想・評価

キック・アス(2010年製作の映画)
4.5
まったく特殊能力の無い普通の高校生(漫画オタクで童貞)が「どうして誰もが望んでるのにヒーローにならないんだ?」という素朴な疑問から、自分がヒーローになる!というトンデモない展開です。で、本当にまったく特殊能力がないのでただのマヌケな高校生にしか見えませんが、これがきちんとした成長物語になっていますし、アイロニーも充分に効いている、だいぶ前ですが日本のアニメーションの自我の葛藤をも含んだ展開になっています。ただの高校生がヒーローになりきったことでどうなったか?を描いています、Supercool!!


アメコミの世界を現実味を持たせて、しかも差し込まれるギャグがアメリカンジョークではない、きちんとした『ずらす』笑いになっていて、違和感なく楽しめます。主人公のデイブ扮するヒーロー(名前がキック・アス)の衣装がもう笑える上にどうしようもないダサい感じがリアルで良いです。それを助けることになるヒット・ガールがキュート!普通のカワイイ子なんですが、コスプレする説得力はないものの、この世界観にはまれる非常に上手い作りになっています。


確かにスラングも出てきますし、人の惨殺シーンもありますが、それは手段であって目的でないところを分からせ、しかもやるなら徹底的に作りこんでいて、『コレは楽しんでもらう為にやってるんですよ』という製作者の意気込みを受け手は充分に感じることが出来ます。素晴らしい完成度!


『(500)日のサマー』の子役だったクロエ・グレース・モレッツのアクションシーンも素晴らしいですし、主人公のダメっぷりからの成長、突きつけられるシビアなテーマ、そしてそれを包んでパッケージする部分に手を抜かないで取り組んでいるのを理解出来ます。ニコラス・ケイジもいい味出してくれてます。


リアルで、クールで、笑えて、楽しめる映画的、映画。映画館で映画を見るのが好きな方に、オススメ致します。