カタパルトスープレックス

座頭市あばれ凧のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

座頭市あばれ凧(1964年製作の映画)
4.2
二十六作品ある勝新太郎主演「座頭市」シリーズの第七作目。今のところ、これが「座頭市シリーズ」のベスト。クライテリオン版ボックスセット収録。

前作に引き続き、池広一夫監督がメガホンを取ります。前作のカッコ良い映像は宮川一夫撮影監督によるものもあったのですが、今回も構図と絵ビシッ!ビシッ!っとキマっている。つまり、池広一夫監督の映像作家としての力量がすごいってことなんでしょうね。

今回はさらに時代考証が素晴らしい。服装や小道具が一つ一つすごくリアルなんです。昔、時代考証の本を読んだことがあるのですが、江戸時代の徳利って大きかったんだそうです。そういう一つ一つの小道具にすごいこだわりを感じました。特に川の「渡し」のシーンがすごく好き。

話自体は悪いヤクザ(竹居の安五郎)と良いヤクザ(津向の文吉)の対決という座頭市ではよくある話です。安五郎も文吉も実際にいたヤクザです。座頭市に登場するヤクザはたいてい実在した人物をモチーフにするからすごいですよね。良いヤクザの文吉は清水次郎長とも関係があったそうです。

終わり方もとても潔くて好きです。花火の夜、戦いに決着がつく。そこで「完」の文字。座頭市ってこのパターンが多いんですが、今回は特に効果的でした。その後どうなってしまったんだろう?