B姐さん

ゴモラのB姐さんのレビュー・感想・評価

ゴモラ(2008年製作の映画)
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『イル・ディーヴォ』(妙なヴォーカルグループではなく映画のほう)もこの映画も“ネオレアリズモ”がこういう風に発展(または変容)したと思うと感慨深い。
本作は実録ものということもあり『仁義なき戦い』と『シティ・オブ・ゴッド』を足してカタルシスを引いたかんじ。

「ナポリを本拠にかつてのマフィアをはるかに凌駕する権力と経済力を持つ」巨大犯罪企業組織「カモッラ」の実態を描いているのだが、観た印象は「カモッラ」の“尻尾”を垣間見ただけと言う感じだ。産業廃棄物からオートクチュールまで「息がかかってますよ」とさりげなくドライに見せるだけ。
フォーカスしているのは「カモッラ」が存在する今のナポリの実情(イタリア国内での経済格差)、それに伴う希望が全くない若者たちの焦燥とどん詰まり感だ。だから“マフィアもの”として観ると肩すかしをくらう。

たまに、ナポリでは行政機能が麻痺していてゴミが街中にあふれているというニュースを耳にするが、まさか裏ではこんなことになっているとは思わなかった。

今度からはどうしても、テレビ画面に映るジローラモの笑顔の裏の影を想像してしまう。

DVD(3/27/2015)
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