ゴン吉

キネマの天地のゴン吉のレビュー・感想・評価

キネマの天地(1986年製作の映画)
4.0
劇場の売り子が大作映画でヒロインの座を掴むまでを描いたシンデレラストーリー。 
松竹大船撮影所50周年記念作品。
山田洋次が監督を務め、有森也実がヒロインを演じ、渥美清、倍賞千恵子、前田吟、吉岡秀隆、笠智衆、すまけい、中井貴一、岸部一徳、堺正章、柄本明、山城新伍、ハナ肇、松坂慶子、美保純、木の実ナナ、9代目松本幸四郎、藤山寛美らが共演。  

帝国館で売り子をしている田中小春(有森也実)は、旅回りの役者だった病弱の父(渥美清)と二人暮らし。ある日、松竹キネマの小倉監督(すまけい)の目にとまり、蒲田撮影所に呼ばれ、助っ人役者として看護婦を演じる。助監督(中井貴一)の支えもあり、女優としての道を歩むことになる。大作「浮草」で主役を演じるはずだった人気女優(松坂慶子)が恋で失踪したため、小春が急遽代役としてヒロインに抜擢されるが…

1933年(昭和8年)頃の松竹蒲田撮影所での実話をもとにしたヒューマンドラマで女優の田中絹代がモデル。
一人の劇場の売り子が活動写真の主役の座を掴むまでのシンデレラストーリーを、様々な人間ドラマに加えて当時の世相も交えながら描かれている。
「いらっしゃいませ」の一言のセリフが重さが奥深い。 
またトーキー作品初期ならではの撮影風景も描かれており、BGMは撮影中に横で生演奏するシーンなどが興味深い。
本作でもメガホンをとった山田洋次監督の人気シリーズ「男はつらいよ」のレギュラーメンバーに加えて松竹記念作品ならではの沢山の豪華キャストが共演している。
ラストは切なさとハートウォーミングのバランスが絶妙で、しみじみとしたエンディングに涙です。 

2024.5 NHK BSで鑑賞(プレミアムシネマ)  
2023.11 NHK BSで鑑賞(BSプレミアム) 
第10回日本アカデミー賞で優秀作品賞、優秀監督賞、優秀脚本賞、優秀主演男優賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞、優秀音楽賞、優秀美術賞、優秀録音賞、新人俳優賞を受賞。
ゴン吉

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