虎舞羅ーコブラー

トム・ヤム・クン!の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

トム・ヤム・クン!(2005年製作の映画)
3.8
「ムエタイの達人、トニー・ジャーの次なる戦いの地はシドニーへ!今やハリウッド進出まで果たしたトニーの海外進出作!」

・あらすじ
かつて祖国の為に戦ったムエタイ使いの末裔たちが住む村で、タイ人青年カームは育つ。ある日家族同然の象が海外密輸組織に連れ去られ、その後を追いカームはシドニーへ。そこから、カームは組織との熾烈な戦いに身を投じていくのだった…。

・レビュー
最近では最新作「エクスペンダブルズ4」への出演も決まっている、トニー・ジャーのデビュー作である「マッハ!」のプラッチャヤー・ピンゲーオ監督とタッグを組んだ二作目の作品です。

まずこの作品で大きく評価すべき点は、「マッハ!」に続き““ワイヤーを使わない、CGを使わない、スタントを使わない、早回しを使わない””という、昨今のアクション映画では考えられない様なアクションが観られること。
「マトリックス」のCGによる映像革命以来、アクション映画もCGやワイヤー、また早回しを多用するアクションシーンが増えていたなか、こんな無謀な事をしたのはジャッキー・チェン以来の衝撃で、公開当時日本や海外で破格の高評価を得たそうです。
トニー・ジャーは前述の通り、ムエタイを基本とした戦闘シーンを見せてくれますが、当然全ての打撃技はガチで当てています。ムエタイの技は肘や膝を使う打撃から、変幻自在な蹴りまで様々ですが、これがかなり痛そうなんですよね…。また終盤では古式ムエタイの関節技で70人の敵を倒すアクションがあるのですが、これが何度見ても圧倒される程に完成度が高く、その4分のシーンだけでも満足出来そうなレベル。そして“カンフー、カポエイラ、剣術、プロレス”対ムエタイという夢の異種格闘技戦もこれでもかというほどに詰まっており、この手の格闘が好きな方は絶対にハマると思います。特にプロレスラーとの戦いは見物でしたね。自分よりも巨体で、筋肉も豊富なために通常の蹴りや突きが通用しない相手に、どう打ち勝つか。どこを狙えば通用するのか。これを考えているだけでも面白く、本来の“戦闘術”としてのムエタイも披露してくれるサービス精神に脱帽です…!
トニー・ジャーのアクションの特徴である、アクロバティックなパルクールも取り入れた軽快な身のこなしからの強烈なエルボーや飛び膝蹴り、一撃一撃が素早く的確なファイトスタイルを存分に楽しめます。ストーリーにはツッコミどころがあるかもしれませんが、この作品はアクションを骨の髄まで堪能させる事に特化した作品なので問題なし。まさに「考えるな、感じろ」という言葉が合うアクション作品でした。

「エクスペンダブルズ4」、トニー・ジャーとイコ・ウワイスという私の大好きなアジア系アクション俳優が揃っているので、劇場で鑑賞したいところですね…!イコちゃんは敵役でステイサムと戦うそうですが、「ザ・レイド」並のアクションを魅せてくれるのを期待しておきますよ…!
興味がある方は是非ぜひ!