ゾ

クレープのゾのネタバレレビュー・内容・結末

クレープ(1993年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

幻の一本、1年越しにようやく見られた!
短いのもあってサラッとした作品かなと思っていたけど、残るもののある作品だった 良すぎてくらってしまった
リリカルでさみしい、フィルムの淡さが作品の雰囲気にあっている
主人公の恋人と妹の会話、主人公と恋人の会話、ボツボツ思い出す 
「さみしい同士で暮らしたって……」
もうすっかり大人の二人同士が子供みたいに振る舞えるのはお互いといる時だけなのか
主人公の不器用な感じがすごくうまくいっている
「ここはね、クレープが美味しいんだよ。そんなことを、娘に言ってみたい気がした」
特に娘と再会して、2人の顔と声以外の一切が消えてポツポツ会話するシーンがすごくすごくよかった
言葉を発するときのためらいやそれに伴う小さな所作、言葉を受けて飲み込むまでの時間、そしてまたためらいながら言葉を発する
答えを急ぎ沈黙を恐れる人間として、こんなふうにゆっくりお互いを確かめ合いながら言葉をかわせるって奇跡みたいだと思う わたしもこんな会話ができるようになりたい
演技をしている感じが全然なくて、これが人間の生理を捉えるということなのか
「今日だっけ?」
離れていた十数年が一瞬で埋まるわけはなくて、二人とも違う時間を生きていることを思い知らされる
でも心を分かち合う時間を過ごすことはできる、いっときのことだとしてもそれって素敵だ
いま暮らしている恋人とのシーンはよくわからず、さみしい同士で暮らして、どこに行くんだろう
これがなかなか見られない作品になってるのもったいないなあと思わずにはいられない
社会背景的に今看過できないところはあるとしてもすごく良かった
ゾ