ぺろ

村八分のぺろのレビュー・感想・評価

村八分(1953年製作の映画)
3.8
ヴェーラにて。新藤兼人脚本らしい一本。戯画化されたキャラクター(村役場のあいつ何?)、テンポが良く、ラストの着地点のおかげもあり、テーマに対してそこまで陰惨な印象はないものの、あまりにも「普遍的」な問題が現代と変わらない様相で描かれているので胸が苦しい。

選挙における不正の告発という正しい行いに対して、村八分という態度をとるやつらも腹が立つが、それよりも「あなたの行いは間違っていないわ」とだけ言って、実際に手を差し伸べるわけでもなく大人として攻撃から守ってやろうとするでもない乙羽信子演じる社会科教師がかなりイラっとさせてくる。一方で正面から意見を戦わせ、正しい道を選び取った学生たちのかっこよいこと。まぁあまりにも理想的な展開ではあるが…

毎日様々に同じようなニュースは舞い込んでくるが、これを見てすぐにミートホープの食肉偽装を告発した方の訃報が入ってきた。同じく正しいことをして、村八分と同じ目に会い、そして晩年は告発したことを悔やんでいたという。現実は映画のようにはいかないし、正しい子供たちはいない。いないけど、映画でそういう理想を描くことで、「こういう展開が実際にあってもいいじゃない」という道を示し続けていくことも重要だなぁとか思うのだった。
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