たいら

息もできないのたいらのレビュー・感想・評価

息もできない(2008年製作の映画)
4.3
すごいものを観てしまった。パッケージからすでに素行の悪そうな主人公は始めからすごいし、劇中の「殴るやつは殴られるとは思ってないんだよな」という言葉が暴力シーン無くしたら20分尺くらいに収まりそうな本作においてとても印象深い。観賞後、「哀しい」では到底表せない、共感の追いつかない無情ともいえる気持ちになった。正義と悪、はっきり完全無欠の二項対立は実際の社会においても殆ど存在しない。あるのは一方の正義ともう一方の正義だ。皆色んなものを抱えて生きている。つい、人前ではきれい事や強がりを吐いてしまうがそういうのも含めた上で目を背けたくなるようなことも同じくらいはっきり描かれている。殺したいという気持ちと生きろという気持ちが共存する。字面ではそんなの矛盾だと思うかも知れないが私はこれこそ現実だと思った。
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