伊藤

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還の伊藤のレビュー・感想・評価

4.5
国を治める王たちも、犬猿の仲であった者たちも、か弱き旅の道連れたちも、遠くにいる友のために剣を振るう。トールキンが描いたこの壮大な冒険の物語は、今改めて観れば彼の戦争の経験が大きくストーリーに反映されているように思える。
どれだけ年月が経とうがあの頃の傷は癒えない。心のどこかでは気付いている、旅立つ前の自分には戻れない。作中に指輪物語としてフロドが書き残したように、トールキンは自身の体験や夢、友への想いをこの冒険譚に残したのでは無いだろうか。
今となっては長い、マニアックなジャンルだと嫌厭されがちなシリーズだが、故郷や愛する人たち、人類の明るい未来への願いが感じられるような、とても胸の熱くなる作品だ。
伊藤

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