ヒロ

ライフ・イズ・スイートのヒロのレビュー・感想・評価

ライフ・イズ・スイート(1991年製作の映画)
4.2
いつかは自らの店を持ちたいと夢見るコックの父、貧しいながらも一家を支える太陽のような母、人付き合いもよく手の掛からないボーイッシュな姉、捻じ曲がったフェミニズム思想とアブノーマルな性癖ボサボサな癖毛とアニメ声でがっつりな拒食症といろいろ併せ持つ優秀な自宅警備員の妹ニコラ、ユニークでシュールな登場人物が織りなすオフビートな人間賛歌。人生が甘いなんてことは当然なく、それぞれがいろんなことを諦め様々な物事に対して折り合いをつけてその日その日を生きていく中で、ときには酒に溺れる日だってあれば、自暴自棄になり親友の妻に欲情したり、セフレに恋しちゃうことだってある、でも味のなくなった米だって噛み続ければ一瞬だけふわっと甘くなる味の向こう側なるものがあるって麒麟の田村も言ってたじゃないか。というのは置いといて、憎み合っていたニコラとおかんが壮絶な口喧嘩をするなかでも互いのことを想っているあのシーンは自宅を警備した経験がある人間にはとてつもなく響くと思うし、出来損ないの妹と手の掛からない姉のなんでもない会話の途中で不意に挟み込まれるエンドロールに人生はそれでも続いていくというマイクリーのメッセージをしかと受け止めた。身体にもこころにも悪いニュースが続く世知辛い世の中への処方箋としてオススメしたい一本。

2020-48
ヒロ

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