一人旅

スーパーチューズデー 正義を売った日の一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ジョージ・クルーニー監督作。

実際に民主党大統領予備選挙で選挙スタッフとして働いた経歴を持つアメリカの劇作家:ボー・ウィリモンによる2008年発表の戯曲「Farragut North」を、間もなく監督最新作『ミッドナイト・スカイ』(20)がNetflixにて配信開始されるジョージ・クルーニーが映画化した政治サスペンスで、ライアン・ゴズリングが選挙参謀を演じています。

民主党大統領予備選挙に立候補した知事の選挙参謀として働いている青年:スティーヴンを主人公にして、ライバル候補に勝利するための選挙戦略や選挙参謀同士の水面下での熾烈な駆け引きを生々しく描いた“政治サスペンス”の力作で、大統領候補者を陰で支える選挙参謀同士の冷徹な出世競争が選挙戦の厳しさを物語っています。

大統領候補者本人の視点ではなく、裏方として候補者を支える選挙参謀の視点から語られる“大統領選内幕劇”で、候補者のスケジュール管理は勿論のこと、ライバル候補者を蹴落とすための冷淡な選挙戦略や、不祥事を起こした候補者の尻ぬぐいへの奔走といった“なんでも屋”と化した選挙参謀の奮闘を描きつつ、結局は候補者の為ではなく自分の為の選挙に執着してしまう選挙参謀の実態を暴露しています。また、候補者が引き起こしたセックススキャンダルへの対応は『パーフェクト・カップル』(98)を連想させ、国民から広く支持される候補者の“裏の顔”を常に一番近い場所から候補者を見ている選挙参謀の視点により明らかにしていきます。

候補者への忠誠心以上に、選挙キャンペーンで名声&出世を確約させたいと願う選挙参謀の私利私欲&足の引っ張り合いが鮮烈に描写される政治サスペンスで、主演のライアン・ゴズリングが候補者の弱みを利用する主人公を好演していますし、知事役:ジョージ・クルーニー、身内の選挙参謀役:フィリップ・シーモア・ホフマン、敵方の選挙参謀役:ポール・ジアマッティら脇を固めるベテラン実力派の競演も見所となっています。
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