ツクヨミ

ロリータのツクヨミのレビュー・感想・評価

ロリータ(1962年製作の映画)
3.1
キューブリックの体験型"ロリータコンプレックス"。
作家のハンバートはアメリカの田舎でとある家に間借りすることに。しかし家で過ごしていくうちに当家の一人娘"ロリータ"に惹かれていく…
スタンリーキューブリック監督作品。今作は"ロリータコンプレックス"の語源にもなった幼い少女に恋してしまう男の半生をしっかり描いていました。まず中年男が少女に恋をしてしまう過程…ファーストコンタクトとして庭で水着姿のまま佇む姿に心を掴まれ、ロリータの母親シェリーの誘いが執拗すぎてロリータの存在がどんどん強くなっていく演出がいい。今作には主人公と一緒に心惹かれていく共感覚的な要素があるような気がする。
しかし今作にはキューブリック監督的な魅力はあまり感じられなかった。しいて言えば一歩引いたような感覚で感情移入させない人物描写は相変わらず。また"博士の異常な愛情"で見せたブラックユーモアが効いたコメディが今作にも存在していてそこは渇いた笑いが溢れた。
まあスタンリーキューブリック監督作品として見なければ、中年男の失敗談として楽しめるかもしれない。
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