一人旅

ヘルファイターの一人旅のレビュー・感想・評価

ヘルファイター(1968年製作の映画)
3.0
TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
アンドリュー・V・マクラグレン監督作。

油井火災専門の民間消防士・チャンスが世界各地で発生する火災に立ち向かう姿を描いたアクション。
黒煙とともに空高く燃え上がる火炎の映像は圧巻。チャンス率いる消防士チームの消火方法は特殊で、“火をもって火を制す”。火炎のど真ん中にニトロをぶち込んで起爆。ニトロの大爆発が周辺の酸素を一気に吸収することで油井の炎が一瞬で消火されるというシステム。火炎もその消火手段も豪快で迫力満点だ。ただ、アジア、北米、南米など世界各地で発生する油井火災は、その舞台こそ移っても火災現場の映像自体は基本的にどれも似ていて代わり映えしないのが残念なところ。消火スタイルも一貫して“ニトロぶち込み→起爆”であっさり解決してしまうので、『バックドラフト』のように、燃え盛る炎に果敢に突入していくような壮絶な展開を期待してしまうと拍子抜けすると思う。
そのため、火災アクションよりもむしろ人間ドラマに重きが置かれているような印象を受ける。命懸けの仕事に出かける夫と、夫の帰りを待つ妻の不安と孤独。そして、チャンスと娘・ティッシュ、娘婿・グレッグの三者関係も物語の軸になっている。チャンスにとってグレッグは仕事上のパートナーであると同時に、義理の息子でもある(『アルマゲドン』っぽい?)。仕事が原因で妻と別れた過去をもつチャンスは、現在のグレッグと昔の自分自身の姿を重ね合わせるのだ。娘の将来を案じたチャンスが取る行動や、何かと対立しつつも、チャンスとグレッグを繋ぐ男同士の熱い友情が見どころだ。
主人公チャンスを演じたジョン・ウェインの男気溢れる演技は抜群。ぶっきらぼうで不器用な男だが、仕事能力は超一流で誰よりも頼りになる存在。なぜか旅客機まで操縦できてしまうという多才ぶり。文字通り命懸けで戦う企業戦士。ジョン・ウェインだからこそ出せる古風なかっこよさだ。
一人旅

一人旅