あるぱか

ボーン・アルティメイタムのあるぱかのネタバレレビュー・内容・結末

ボーン・アルティメイタム(2007年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ボーンシリーズ三作目。前作からのポール・グリーングラス監督とマット・デイモンのタッグ。
シリーズ完結編で完成度も高い。とんでもないコマ割りで画面の情報量がとんでもないけど、テンポがめちゃくちゃ良くて冒頭から没入していった。

前作のラストは今作の終盤あたりのシーンで、この二作の奇妙な繋がりがまた粋。
今作もボーンという、知的で謎めいた過去をもち、寡黙で冷徹に見えるがその中で人間としての理性、慈悲を垣間見せる役をマット・デイモンが見事演じきっている。ハーバード出身ということでマット・デイモンにはやはり知的な役が似合っているように思う。ボーンは他のアクション映画のように敵を不必要に殺したりはしない。ここに人間兵器といえど人間らしさをみてとれる。これがキャラクターの魅力を強め、見るものを惹きつけているのか。
それゆえ単なるアクション映画にとどまらず、脚本がしっかりとした重厚のあるドラマにもなっている。もちろん、アクションは圧巻。

CIAをその頭脳で幾度となく欺く華麗さは健在で、特に記者と接触するシーンで如実にあらわれた。CIAは、記者とその接触者(ボーン)が確かにいるのに、その姿を確認できない。ボーンの巧みな指示によって記者は文字通り姿を消す。と同時に駅にいるCIAの人間をボーンが次々に倒していく様はみものだった。

「信じられん…奴だ…」


次にモロッコ、タンジールのシーン。迷路のような狭い街並みにひしめく人々を縫って逃げるニッキーと、それを追う殺し屋、を追うボーンという構図。窓から窓に飛ぶ時の後ろから迫るカメラワークとかほんと凄い。カメラマンも大変だなぁ。窓を割って侵入してそこから泥臭いリアルな戦いが始まる。聞こえるのは殴打音と激しい息遣い。BGMなんて流れないから余計リアルな演出。

またお得意のカーチェイスも素晴らしかった。シートベルトって偉大。

最終局面での
「もしあんたがオフィスにいるなら、俺と面と向かって話しているはずだ」
って言う台詞、思わずニヤリとしてしまう。
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