まりりんクイン

王立宇宙軍 オネアミスの翼のまりりんクインのレビュー・感想・評価

5.0
見れば必ず勇気が出る。

エヴァなどで有名なアニメ制作会社、ガイナックス(正確にはまだ会社は設立してませんが)の記念すべき初作品。
大学生の頃から同人活動をしていた面々が、卒業後劇場アニメを作るためにそのまま立ち上げたガイナックス、本作にはそんな彼らの情熱がほとばしりまくってます。

オネアミスという架空の国で、「宇宙軍」という形だけのお飾り軍隊に所属する、無気力で落ちこぼれな主人公たちが、ロケットを打ち上げようと奮闘する話。
主人公が諦めの人生な自分のことを語る(森本レオボイス)冒頭のナレーションが非常に印象的です。


話の内容は政治劇がメインで、渋く、地味です。
しかし、主人公たちはそんな世界のしがらみなどどうでも良く、ただただロケットを打ち上げたいだけ。
そして終盤、敵国を巻き込み、両国の思惑が交錯した大戦闘が勃発、銃弾飛び交う中ついにロケットが打ち上がると、

今まで闘っていた兵士たちが敵も見方も皆手を止めて空を見上げる。

彼らの作り上げたロケットという「純粋な情熱」が、政治や国際問題、全ての大人の目論みを超越した瞬間。

そしてこれは、ガイナックスメンバーがこの映画でやりたかったこと。
これ程勇気のでる話があるでしょうか?
この作品には確かに、庵野さん山賀さんたちガイナックスメンバーの、まだ何者でも無い自分たちの思いや情熱が焼き付いていているのです。
本作を作ったときガイナックスの面々はまだ自分と同年代だったというのが信じられないと同時に、またその事実が自分に勇気をくれます。
二十代前半の彼等の世の中に対する不満、「今に見てろよ」という情熱、そして少し背伸びした感じの渋い内容。


だから自分はつまづいたり、立ち止まりそうになった時、必ずこの映画のロケット打ち上げシーンを思い出します。

俺はやるんだ!最後まで立派に元気にやるんだ!

そうありたいと思います。彼らもそうだったように。
まりりんクイン

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