映画初心者

王立宇宙軍 オネアミスの翼の映画初心者のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

作画サイコー、演出・構成ガッカリ作品。

作画最高です。冒頭から並の映画じゃないことがわかります。バイクや戦車、軍用機といった無機質のものが特に良い。細かな挙動がリアリティを高めてます。庵野さんの作監パワーかも? エフェクトや人物の動きもレベルが高い。レイアウトもバシバシと決まっていてかっこよく、映像だけでもうくぎ付けです。スタッフクレジット見ると、今ではレジェンドと呼ばれる人らばかりで納得する完成度。

しかし、演出・構成が悪く、かなり散漫になってしまっている。この作品は世界観を徹底しようという意志を感じますが、世界観の説明を押し付けているように感じました。専門用語やその風習をわざわざ映像で見せたりしている。また、その世界観が活きているかといえば全くそんなことはなく、スタッフ間で盛りに盛った世界観をただ映像で出したかっただけという感じがします。その世界観の説明だけで尺が伸びていて、そういった世界観がないもしくはもっとスマートに表現できていればもっとすごい映像が見れたのかもと思うと残念。

音楽の自己主張さがあるのが少し気になる。

この作品の目的は「人類初のロケットを飛ばす」ということなのですが、宗教要素やヒロイン要素などいらない要素が多い。その要素は主目的に全くからまず映画としてスッキリしない。具体的に、その主目的に向かって作る難しさといった方向にシフトするかと思えば、ヒロインの登場などいらない方向にいってしまっているのでグダグダ感がありました。作る際の工程を綿密に描いている部分がありますが尺として短く、実際に飛ぶシーンの達成感が全くないです。不要な要素に尺をかけているせいで主目的に必要な尺があてられていないのが欠点。

打ち上げ後の人間の歴史をフラッシュバックさせるシーンがかなり無駄で、ロケットを飛ばした喜びみたいなものが全く感じられない。今まで人間がやっていないことを初めて成し遂げることを伝えるならば、各時代の人間が空を見るシーンを連続して繋げていけば済む。(縄文時代は鳥を、中世ならば城を、産業革命後なら工場を見るといったように)

戦争という過ちを繰り返さないようにしようというシーンがありますが、主人公たちの行動がその主張と矛盾しています。ロケットを飛ばすことを中止しようというシーンで「せっかくここまでやってきたんだから、、」と発言します。今までやってきたことが無駄になるから犠牲はでるかもしれないけどやるというのは、一見盛り上がるようにみえます。しかし、日本では多くの人が死んだのを無駄にしないように勝つしかない、と戦争が泥沼化したという歴史があります。その歴史があるため、主人公たちがしている行動は戦争の過ちともとれる行動で主張と一致していないのが凄く気になりました。

作画サイコーな出来で満足ですが、そのほかの要素があまりにも,,,な作品でした
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