Dakota

ディパーテッドのDakotaのレビュー・感想・評価

ディパーテッド(2006年製作の映画)
3.3
・だまし抜く、生き残るため
〈あらすじ〉
犯罪者家系のビリーは、ボストン州警察の覆面捜査官として、マフィアのボス・コステロの元に潜入する。一方、警察内部にはコステロのスパイ・サリバンが暗躍。刑事という立場を利用し、捜査をかく乱する。正体がバレたら、2人を待ち受けるのは破滅のみ。「生き残る」ため、周囲を欺き続ける…。

▼コステロの逮捕に向けたビリーの潜入捜査は、過酷を極める。間近で見る残酷非道なコステロと、潜入捜査がバレることへの恐怖に常にさらされる、死と隣り合わせの任務。マフィアの手下を演じ、「本来の自分」を見失いそうにもなる。

▼極限状態の日々は、彼の心を次第にすり減らす。薬の処方を渋るセラピストに言い放つ。「ウイスキーと銃をくれ。この(おかしくなった)頭を吹っ飛ばす」と。苦悩し病めるビリーを、ディカプリオが高い表現力で見事に演じ切っている。

▼サリバンは、幼少からコステロの援助を受けて育ち、刑事となった。順調に出世を重ね、周囲の信頼も得る彼は当初、生き生きとしていたように思えたが、次第にその表情から明るさが消えていく。刑事でありながら、マフィアのスパイとしてコステロに振り回される自分に、虚しさを感じていったのかもしれない。

▼そんな折、サリバンはコステロの裏切りを知る。FBIと通じ、仲間を売る見返りに自身を守ってもらっていたというのだ。サリバンは、武装警官らと共に薬の回収現場を取り押さえ、彼と対峙する。育てられた恩は、いつしか軽蔑へと変わっていたのか。「あんた何やってんだ。人殺しにヤクと女」「子供もいない」と呆れたように吐き捨て、コステロを撃ち殺す。

▼ビリーは、警察内部で暗躍するコステロのスパイ(サリバン)を、サリバンは、コステロの組織に潜入する捜査官(ビリー)を、見つけ出そうとする。顔を名前も分からない「相手」の脅威に互いにさらされながら、それぞれの役割を全うしようと努める。

▼コステロに関する捜査終結後、ビリーはようやくサリバンがスパイだったと悟る。彼を拘束し、警察に突き出そうとするが、一筋縄ではいかない。果たして、最後に笑うのはビリーかサリバンか、それとも…。
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