三樹夫

ディパーテッドの三樹夫のレビュー・感想・評価

ディパーテッド(2006年製作の映画)
3.8
香港映画『インファナル・アフェア』のハリウッドリメイクで、元の映画の方は無常観や哀愁漂うような映画だったが、何故かこちらは面白おじさん達がひたすらワイワイやるゴキゲンな映画になっている。お互い潜入先に馴染んでいて、デカプーの潜入先のマフィアの部下と仲良くなるというのもなくはないし、マット・デイモンの表の世界への渇望も描かれてはいるが、さわりぐらいのものとなっている。どのようにして相手のネズミを探り当てるのか、またネズミであることがバレそうになるサスペンスもちゃんとやってはいるが、それよりもこの映画が注力していることは面白おじさん達がワイワイやることだった。ジャック・ニコルソンとマーク・ウォールバーグを先頭に面白おじさん達の口悪下品会話ジョークショーが開催されている。ジャック・ニコルソンなんかあんなのただのジョーカーやん。

元の100分くらいの映画がなんで2時間半になってるんだよと、ベースは香港版の1だが2と3の要素も若干入っているというのと、面白おじさん達がワイワイやってるので長くなっている。スコセッシは香港版を観ずにシナリオだけで制作したと言われている。
香港版のヤンがデカプー、ラウがマット・デイモン、ウォンがマーティン・シーン、サムがジャック・ニコルソン、リー+ラウの妻の方のマリーがヴェラ・ファーミガ、シェン+ヨン的なキャラがマーク・ウォールバーグになっている。香港版の土建屋のオヤジみたいな風貌のサムがジャック・ニコルソンになるのはまだ分かるが、マーク・ウォールバーグのキャラは一体何というぐらい口悪面白おじさんだった。ジャック・ニコルソンとマーク・ウォールバーグが訳わからんことになってて、デカプーとマット・デイモンが影薄くなっちゃってる。

この映画でスコセッシはアカデミー賞を受賞したが、あげるにしてもこれではないだろ感。スコセッシはとっくに取っててもよかったけど、ずっと延び延びになってて、いつあげようかいつあげようかでこの映画になったみたいな。
また作品賞は、この映画は有名俳優がたくさん出ているので投票権持っている人と友達だったりのコネで受賞しやすいというのと、当時アカデミー賞の投票権を一番多く持っている層は白人の役者なので役者の演技を見せるという映画は票が集まりやすく有利。また一番の対抗馬の『硫黄島からの手紙』が出演俳優が非ハリウッド役者ばっかりで、そういったところで『硫黄島からの手紙』は不利だったということがあったりしての受賞だった模様。
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