どらどら

ファイト・クラブのどらどらのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.5
- The things you own end up owning you

持てるものはさらに富み、持たざるものは働けど働けど抜け出せない
要らないものを買うように仕向けられ、それを買うために人生を終えていく
勝者は、ただそれを笑ってみるのみ
真に必要な労働を行うものたちこそ虐げられ、本質的には不要な仕事が高給をかっさらう
そこには生の感覚の欠如と虚無のみが横たわる

この資本主義的不条理に怒りの鉄槌を
徹底的な暴力を
破壊を

その先にある生の奪還を果たしてこそ、人生が始まる
__________________________________

資本主義というシステムの崩壊を前にして、何をなすべきか
行われる暴力に対して否定的な姿勢を取り続けながらも辿り着くラストシーンはかなり示唆的である
「人間の本質的な暴力性」を描こうとしている、というよりは、先立つ資本主義•消費主義批判があり、それに抗う「手段としての」暴力を提示していると感じた

一方、「名前のある人間だ」というセリフに象徴されるように、単純な戯画化、あるいは抽象化を徹底的に否定する。
反資本主義闘争が没個人を要求し始めるのは、連合赤軍事件を思い出すまでもなくその闘争と切って切り離せない関係である。
しかし、本来「生の奪還」を図っていた活動が、没個人を要求し始めたら当然ながらそれは本末転倒であり、そのことを映画は忘れてはならないと語る。

従って、本作が提示せんとしたのは、「資本主義の暴力には暴力を持ってして抗うしかないのではないか」という問いかけと、「その活動が没個人を要求し始めたら終わりである」という教訓とであり、その意味で極めて挑戦的な作品である。

主人公の仕事が「リコールの査定」というのがエッジが効きすぎていてとても上手い
どらどら

どらどら