Shu

悪人のShuのレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
2.5
「悪人」を観てきた。
女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、
捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹かれ合うようになり……。  (あらすじより)
ほぼ妻夫木演じる犯人祐一目線の作品になっていてそれはいいんだけど被害者が殺されてもしょうがないようなクズな人物に描かれてるのがどうにも鼻につく。
殺されたのが「モテキ」の"いつかちゃん"だったからってわけじゃないくてね。
いくらクズでも殺人は殺人、感情移入できるはずも無い。深っちゃん演じる光代が、出会い系サイトで出会った祐一を殺人犯と知りながら、何故、共に逃避行をするまでのめりこむのかが全く気持ちが伝わってこない。いや、深っちゃん自身の演技はとっても良かったんだけどさすがにそれだけじゃ伝わらない。
日本で犯人目線の作品ってどうしても被害者を悪くする。そこがどうも解せない。仕方ないっちゃ仕方ないのかもしれないが。
作品の雰囲気自体は嫌いじゃないし役者の演技もとても良かったのに惜しい。
最後の祐一の行動をどう取るかほとんど伏線も説明的演出も無いので観た人それぞれの解釈に任せるところが興味深い。
そうそう、むかつく大学生役の岡田将生が「告白」に続いてまたまたイラつく役にちょっと笑った。


(以下ちょいネタバレ注意)


なんかマイナスポイントばかり書いてしまったがいいところもある。
作品として伝えたいことはど~んと感じた。作品中で殺された女性の父親の台詞。

「あんた、大切な人はおるね?
 その人の幸せな様子を思うだけで、
 自分までうれしくなってくるような人は。
 今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる。
 自分には失うものがないち思い込んで、
 それで強くなった気になっとう。
 だけんやろ、自分が余裕のある人間て思いくさって、
 失ったり、欲しがったりする人間を、馬鹿にした目で眺とう。
 そうじやないとよ。それじゃ人間は駄目とよ。」


この台詞に全てが凝縮されてるような気がする。

(2010年09月24日レビュー転載)
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