ゆうゆ

パリ、18区、夜。のゆうゆのレビュー・感想・評価

パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)
3.9

実際の老女連続殺人事件をベースに
夢を抱えてやってきた女と
パリに疲れた男たちを描いた群像劇。

搾取するものとされるもの。
ウィスパーボイスな儚い外見、
言葉も通じない女の飄々とした図太さと
一見たくましい華やかさの中にみせる
男の繊細な鬱屈は
混じり合うことのないままに
闇が孤独を溶かし街をさまよう

毒々しい輝きの赤と青
闇と混じり合う黒い夜の喧騒は
華やいだパリの裏の顔、
だけどもしかしたら住んでる人たちの
場所や境遇によってはその夜の顔が
本来の姿なのかもしれない

女と悲しい殺人鬼が言葉を交わした
あの一瞬の小さなやすらぎが
やさしくて寂しかったし
エンドロールの切ないメロディが
たまらなく心地よかった




ゴルベワの透きとおるような圧倒的な
美は強烈で これまで観た「欲望の旅」
「ポーラx」の3作品の中でも群を抜いて
魅力的で なんでもない佇まいの中に魅せる
あのオーラに釘付け。
だからこそあのドレス姿の大きく開いた
背中が眩しい

そしてこの日観た2本の映画はどちらも
強くなった女が金を持ち逃げしていた
ゆうゆ

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