細やかな演出で子どもの心情と外界からの断絶を暴き出す。
階段を昇り降りする足許から青空まで映し出し、彼らの外への渇望と不可能性を浮き彫りにしていく。妹の顛末と空港での作業はそれを象徴しているように見える。物理的に移動できるのに結局どこにも行けない、というのは放置児童版「憂鬱な楽園」みたいだ。
大人たちは憐れみの手を差し伸べるが、あまりにも無力。その無力さが物語上は子ども達の世界を強固に美しくしているが、現実にはそうはいかない。YOUをボコボコに殴りたい気分になる(本人に悪気が無いのが余計罪深い)。
カップラーメンを笑顔で啜る子ども達の食卓、悲痛すぎる。女友達が援交に走るのはちょっといただけなかった。
何本か観た是枝作品はそこまでピンと来るものが無かったが、流石にこれはとても良かった。
