子どもが犠牲になる事件はインパクトが強い。たいていの場合、彼らには選択肢がなく純粋に犠牲者だ。
1988年巣鴨の事件。
多くの人が胸を痛め、行政も二度とこんなことが起こらないようにと仕組みを考え実行したりしてきたはずだ。
しかし2010年大阪市では更に酷い事件が起こった。
いったいどうしたことなのだろう。
ネグレクトに起因する事件が定期的に起こる。
是枝監督の、一見すると裁かず、誰も責めていないように思える視線で作られたこの作品は透明感があり、一種のお伽噺のようにも思え、やるせなさが残る。
だがその観やすさ故、多くの人に伝えるという目的は達せられただろう。
実際国内外で数々賞を取り、多くの人がこの事件に関心を寄せた。
この物語を通して多くの人が社会的な問題に直面することになる。
忘れないこと、考え続けること、そのきっかけをこうした作品は提供してくれる。
