是枝作品はそれなりに観ているのになぜか観ていなかった作品。
2004年の作品。異常なまでに古くなっていない。
「名作と言われているけど今観るとここおかしいよね」って作品が山ほどある中で、寸分たりとも古くない。
子供置き去り事件で母親のみフォーカスして非難しがちだけど、父親だって同罪(もしくはそれ以上の罪)であるという極めて現代的な視点を2004年時点から表現しようとしている。
是枝監督作は毎度のことだが、子供の演技がとんでもない。なぜこれがヒットした時代を経て、その後に芦田愛菜的な演技が上手いとされる時代が来たのか甚だ疑問だ。(芦田愛菜自体は何にも悪くない)
物を落としては下を向き、飛行機の音がしては上を向く。
明に友達が出来た。それを微笑ましく描くどころか、兄弟たちはどうなるんだろうとサスペンスに働く。でもだってこのままうまくいくわけがないという不安感が常に漂う。子供に背負わせてはならない重荷。
野球でフォームの指導中に監督から手を握られる。ここでふと父性を感じる。
そういえば明はクリスマスにグローブを欲しがっていた。
明が求めていたものは母親より父親的存在だったかもしれない。
暖かい手、隠れたスーツケース、野菜を育てるために集めた土…
それらの思い出は
冷たい手、詰めるスーツケース、◯◯を埋めるために掘る土
に上書きされる。
柳楽優弥は笑った顔だが頬に照れも混じっているのが印象的な俳優だと思っていたがこの時から既にその顔だった。天性のものか。