ALABAMA

誰も知らないのALABAMAのネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1988年に実際に起こった育児放棄事件を元にした是枝監督作品。崩壊が崩壊を呼ぶ。ドキュメンタリー出身の是枝監督だからこそ切り取れる現実の一部。劇映画を観るというよりは、ドキュメンタリーを観るという感覚だった。是枝監督の作品はワンショットワンショットがパズルのように綺麗に構築されており、さながら建築物のようだ。ベランダから落ちたカップ麺の植木のように伏線も非常に綺麗で、フレーム内のものの動きひとつひとつに意味がある。
是枝監督の作品には電車がよく出てきて、いつも暗闇から明るい外へ出てくる。明暗を使い分けるのが素晴らしく、印象的だ。この映画でも室内は暗く、外は白飛びするほど明るい。閉じ込められた人間には外は明る過ぎるのだろうか。父親という存在の不確定さと母親という存在の絶対さを考えさせられる作品。
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