にんにんにん

誰も知らないのにんにんにんのネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

台本がないから台詞が「セリフ」じゃない。子供がこどものまま発する言葉のお陰で余計に胸が痛くなる。
ネグレクトというと子供を放ったらかして遊び狂ってるアホな母親像を一般的に思い浮かべるけど、子供にとっては優しくて大好きな母親で、母親も子供を可愛がっていたりする、なのにどうしていいかわからなくなり過ぎた結果の思考停止、という複雑な実情もあったりする。
あのYOUが凄く明るい声で電話かけてくるシーンの、深刻な状況と浮ついた声のアンバランスさ。母親を徹底的に悪い奴に仕立て上げて「子供が可哀想」と思わせるだけの映画じゃなくて、母親をああいうキャラクター、「鬼」とか「悪い奴」とかじゃなくて、もういろんなことを考えることを放棄しちゃったどうしようもない人、みたいな雰囲気で描いていることもこの映画の良さだと思う。
もともと日本に存在していたけど知られていなかった「ネグレクト」という言葉を日本で一般化させ、その問題を突きつけたのは間違いなくこの作品の功績。