HARUSUI

誰も知らないのHARUSUIのネタバレレビュー・内容・結末

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

公開当時、とても話題になった映画です。
大まかな内容は知っていても、観賞することなく、今日に至りました。
無料動画配信でタイトルを見つけ、何が何でも観るべしと。

カメラアングル抜群のドキュメンタリーを観ているようでした。
本当のところは知りませんが、詳細なセリフは決まっていなくて、大まかな場面の説明だけで、あとは自然に任せて…と言っても良いくらい、演技ではなく、兄弟姉妹の日常生活を切り取ったかのようでした。

ネグレクトの母は、冒頭、身体的虐待もなく(小さな子供をトランクに入れているのは虐待ですね)、これは?とよくよく観ていると、あーこの母親が子供なのだと気付きます。
精神年齢が小学生ぐらいだから、子供と一緒に全力で遊び、子供の言葉に、本気でケンカを売る。
その母を演じたYOUさん、16、17年前の演技ですが、良い味出していました。

子供たち、最高。セリフが少ないので、表情だけのカットが多いです。
しかし、長男の全て背負った暗い、そして理不尽さに怒ってもいる眼差し、カンヌの最優秀主演男優賞を取るだけあります。
子供の顔なのに、目は大人といった感じです。

年下の子も、あどけない表情と仕草が、自然に収められています。
お母さんいなくても、お兄さんの方が好き、お兄さんに自分をすべて預けているのが伝わる。だから逆に辛い。

長男は、お金さえあれば、母親はいらないのではないか?
お金がないとき、ゆきちゃんが死にそうなときにしか、母親と連絡を取ろうとはしていない。
ただ、欲を言えば、大人に頼って欲しかった。
ゆきちゃんの件では特に。

終わり方も、あれで良いと思いました。
実話を元にしているのであれば、結末はわかる。
けれども、子供たちが一緒にいて楽しい、そんな日常で終わって良かったです。
HARUSUI

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