津軽系こけし

気狂いピエロの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
4.0
その女、アンナカリーナにつき


どこまでいっても、女は女である
詩的で、痛快で、皮肉で、いきどまり。縛られない自由な表現は、第4の壁すら簡易に跨ぐ。色彩に富んだ画面配色は「女は女である」を想起させ、ゴダールの作家性を湛えている。特に赤色が妙である。

アメリカ映画から大いに影響を受けていたゴダールだからこそ、本作ではベトナム戦争に対する痛烈な風刺を”裏切り”の幕で語っている。あの2人の関係の崩壊も、分断するフランス・アメリカと照らし合わせになっており、そこにゴダールの私見が織り交ぜられてる。
その切り口は限りなく個人的であり、この話自体がゴダールの愚痴を伝うための舞台装置と言っても過言ではない。Google曰く、異化理論と呼ばれる手法らしい。う〜ん、この人らしい…

ゴダールブルー的な男女のシナリオを軸に、風刺と皮肉とユーモアを散りばめた作品。ゴダールの映画は、しばらくしてからじわじわと魅力に気づくので一概に好き嫌いは語れないが、アンナカリーナはやはり素敵である。
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