疲れる作品でしたね。
心臓移植を待つショーン・ペン、夫と娘二人を交通事故で亡くしたナオミ・ワッツ、そして事故の加害者であるベニチオ・デル・トロの3人が織り成す糸筋縄ではいかない内容を時間軸をわざとずらした複雑な編集で"取っ付きにくく"作られている。
タイトルは20世紀初頭にある医者が行った実験に基づくもので魂の質量から取られている。
つまり命の重さがテーマなのだが、信仰心に縋るように生きているベニチオ・デル・トロがまるで真っ当な人物には描かれていないし、ショーン・ペン演じる大学教授も病人だった自分を支えてくれた妻を裏切り、心臓ドナーの妻であったナオミ・ワッツと不倫する役柄。まァとにかく出てくるキャラクターが複雑で濃い。
ボクとしてはこの作り手の伝えたかった事は憎しみと赦しだと感じた。
この相反する2つの概念は実は表裏一体であって、どんな人間もこの揺らめきの中で生きてゆくしかない。
最後にショーン・ペンが取るある行動。
この繰り返される愚かな人間の業とゆうものを断ち切るための禊のようにも感じる。
天使のような善人でも、罪深い人間でも、市井の庶民でも、皆が魂の質量は21グラムなのだ。
果たしてそれは少ない量なのか?それっぽっちのものなのか?
答えは明確に提示されずに物語は終わり、深い余韻だけが残る。