NARU

21グラムのNARUのレビュー・感想・評価

21グラム(2003年製作の映画)
4.1
人の魂の重さは21グラムだと言う。
これは、1907年にマクドゥーガル博士が発表した説で、彼は実際に6人の末期患者の死に立ち会い、体重の変化を調べた。死後に失われる水分なども考慮し 計算した答えが21グラムであり、これが魂の重さだと結論付けたのである。

今ではオカルト視されているこの数値をタイトルとした本作…、魂の重さをテーマに3つの魂の行方を描く。

特筆すべきは、明らかに無作為に並べられた時系列です。
個人的な解釈ですが、後悔し パニックに陥った時、人は このように断片的に切り取られた記憶を頼りに、
「あの時こうすればよかった」「あんなことさえ無ければ」と、気持ちを整理します。
この見せ方によって、後悔に滲んだ彼らの記憶を直接覗いてるような気持ちで見れました。

死は身近に潜み、自身や恋人が明日死ぬ可能性も0ではない。
そう感じさせた役者陣の演技には驚いた。中でも、どん底から込み上げる悲痛な思いを熱演したナオミ・ワッツが凄い。とても他人事とは思えなくなる。

罪の無い善人にも理不尽な死は訪れ、善悪問わず神の慈悲などこの世に無い。
哲学に答えは無いが、少なくとも魂の重さ(価値)など 測れるものではなことは言える。
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