ぺむぺる

悪魔が来りて笛を吹くのぺむぺるのレビュー・感想・評価

悪魔が来りて笛を吹く(1979年製作の映画)
2.0
旧華族の屋敷にて、フルートの音色とともに繰り広げられる殺人。西田敏行版金田一。原作屈指ともいわれる陰惨かつ淫靡な背景を伴った事件であるが、そのおどろおどろしさがなぜか少年的な怪奇趣味のほうに爆発している。絵的には面白いが、物語の内容とはいささか食い合わせが悪く、金田一というより明智小五郎/江戸川乱歩の世界である。また、小夜子が生きているということもあってか、犯人の悲愴感が薄いのもよくない。何よりもがっかりしたのは、悪魔が来りて笛を吹かないばかりか、その曲名すら作中には登場しないこと。いったいなんのためのフルートだったのか…。そんな体たらくだから、椿元子爵(故人)渾身の「悪魔ここに誕生す」も、あろうことか西田金田一によって消し去られてしまう始末。この映画の記憶も同様に消し去ってしまったほうがいいのかもしれない。ただし、ものほん貴族である鰐淵晴子の美しさは一見の価値あり。濡れ場も意外に積極的。
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