カナダの鬼才デビッド・クローネンバーグが手掛けた作品。ヴィゴ・モーテンセンやナオミ・ワッツなどアカデミー級のスター俳優が並ぶ。日本では映倫に引っかかり18歳未満は観覧禁止されるも、爆発的な暴力描写や喉仏が裂かれる等々のスプラッター表現は確かに本作の真髄とも呼べる「血生臭さ」を演出するにあたり最大限の効力を発揮している。ロシアンマフィアや人身売買といった背筋が凍るようなクライムサスペンス(終盤に明かされる事実は衝撃だ)の裏には言葉では言い尽くせない程の、それでも力強く生きていこうとする彼ら彼女たちのヒューマンドラマが繊細なタッチで描かれているので倍に心が震える。ヴィゴの演技は高く評価され、その年のアカデミー主演男優賞にノミネートする。
