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ミルクのmadokaaaのレビュー・感想・評価

ミルク(2008年製作の映画)
3.7
1970年代のアメリカで、同性愛者であることを公表し、公職に就いたアメリカ初の政治家 Harvey Milk の生き様を描く伝記ドラマ。

監督は『エレファント』のガス・ヴァン・サントだそうで、そもそも期待できる作品。

この役で多数の映画賞を制覇したショーンの熱演はかなり見物です。

たまに映し出される当時のハ-ヴェイ・ミルクの様相と、表情の作り方、雰囲気まで全く一緒です。

実は恥ずかしいことに、この映画を見るまで彼の存在を知らなかった私。

1999年には「タイム誌が選ぶ20世紀 の英雄・象徴的人物100人」にも選出された偉人でした。

キリスト教の名残が根強く残る地で、同性愛者の人権を得ることはどれだけ難しい事なのか。

同時に、モラルのあり方や絶対的なマイノリティの存在を排除しようとする人間の弱さについても深く考えさせられます。

こそこそと隠れず堂々と自由に生きたい。

逆境の中、恐怖に脅えながらも仲間と励まし合う事で着実に前進していくミルクの一喜一憂する姿には、じわっと涙が。

監督のガスヴァンサント自身も同性愛者であることから、この映画では多分にミルク達の勇姿が誇張表現されている部分はあるかもしれない。

しかしながら、世の中に沢山いるマイノリティの方々に勇気を与える作品として評価できる一本です。

今なお尊敬の念を集めるミルクの愛すべき人柄を大いに楽しめます。

最後に、心揺さぶられたミルクの最後のスピーチより。

Without hope, not only gays, but those who are blacks, the Asians, the disabled, the seniors, the us’s: without hope the us’s give up. I know that you can’t live on hope alone, but without it, life is not worth living. And you, and you, and you, and you have got to give them hope.

希望がなければ…
同性愛者だけでなく、黒人やアジア人や障害者や老人や、マイノリティーの私たちすべてが、希望がなければ諦めるしかない。希望だけでは生きて行けないことはわかっているが、希望がなければ生きていることの価値がないんだ。君、君、君たちみんな、彼らに希望を与えなければ!

-Harvey Milk, 1978
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