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ミルクの42carのネタバレレビュー・内容・結末

ミルク(2008年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

1970年代アメリカ、同性愛者を始めとしたマイノリティの為に闘った一人の政治家が凶弾に斃れるまでを描いた伝記映画。
ニューヨークに住むハーヴェイミルクは自らが同性愛者であることを隠して生活していたが、一人の青年と出会ったことによりこれまでの生活を捨てサンフランシスコにてカミングアウトして生きていくを決める。その後カストロ通りを中心としたゲイコミュニティにて存在感を増していくが、警察によるゲイバーへの不当な立ち入り捜査をきっかけに市政委員へと立候補する。

ある意味ハーヴェイ・ミルクという人物はアメリカンヒーロー的であったと思う。同性愛者という点を除いて名もなき一般市民であった彼は偏見という実態を認識しづらい巨大な敵を倒さなければならない状況であった。なぜ彼をアメリカカンヒーローと言えるかというと、先に述べた名も無き一般市民という点が理由である。というのも、アメリカ合衆国成立の理由である独立戦争を考えた時、イギリスという大国に対し武器を手に立ち向かったのは、軍隊でも警察でもなく、一般市民であった。
一方、日本で実在したヒーローというと、全国水平社の西光万吉や女性解放運動家の平塚雷鳥などの近代化≒西欧化する前の人を除けば、織田信長や坂本竜馬といった武士階級の人々が挙げられるだろう。
そもそも明確な身分階級がなく、むしろ巨大な支配層に対抗する形で成立したアメリカが思い描くヒーロー像とは、不当な権力に対し反旗を翻す市民というのが源流としてあるのではないだろうか。


最初口説くシーン、なぜゲイだと分かったのか不思議でならない……ショーンペンのゲイっぷりも凄い。ちょっと怖かったもの。
ドキュメンタリーの方も観てみたいですねー。
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