廃墟と化した友引町と荒廃した友引高校。突拍子もない超常現象や奇妙な事件を描くSFラブ・コメディ映画。
ある一日が繰り返されるシュールな設定。虚構と現実が混ざるカオスでシリアスな世界観を、ギャグアニメならではの明るさで中和するバランス感覚が絶妙。背景の文化祭前夜のワクワク感や準備の猥雑感も効果的で、作品に抑揚と明るい不条理が構築される。
観衆を揺さぶる無限ループの映像世界に誘導されるが、ラムとあたるの能天気さと、さくらと面堂のシリアスな対比がよく、他のキャラは現実を受け入れて普通に過ごす中間にいるようなキャラの棲み分けが上手い。
先が全く読めなくプロット、背筋が凍るような巧みな演出やアニメならではの映像表現や構成は秀逸で、楽しい夢が永遠にループすることへの直面する現実の問題を描写し、哲学的な夢と現実を具現化した作品を大いに堪能して知的好奇心が満たされる。
