国民的ラブコメ×日本の怪談×エッシャーの世界観
序盤からじわじわと、ひっかかる小さなセリフや事象。
空間と時間がわからなくなる構図。
すべての演出が、こだわり抜かれていて、少しも見逃せない。
ただただあほらしくて、騒がしくて、楽しく明るい、うる星やつらの世界観と、暗くて人気のない学校や住宅街との対比に、背筋がぞくぞくする。
あらためて見ると、いろんなアニメの元ネタだなぁと思う。
今回は、久しぶり二度目の鑑賞だった。
すごい映画だという感想は変わらないけれど。
今のコロナの状況は、どこか悪い夢みたいだからか、よりリアリティを感じてしまった。
不謹慎かもしれないけど、今は彼氏とずっとお家にいたい女の子の夢が、不健全に実現された悪夢みたいだなと思う。
実際こっそりうれしいなと思ってる女の子(男性かもしれないし、猫や赤ちゃんかもしれない)は、世界にいるんじゃないかな。
Wikiを見ると、この映画の世界観は、元々夢と現実の狭間というだけではなくて、
アニメのうる星やつらの監督をしていた押井監督のアニメへのアンチテーゼも生まれたきっかけみたいだけど。
終わらない高2なんて、おかしいと。
それを幸せと感じるラムちゃんが、この映画に激怒した高橋留美子で、現実にあくまで戻った諸星あたるが、押井守ということか。
それはそれで、興味深い。
批判精神を、メタにして、ここまで映画に昇華できるから、押井守はやっぱりすごい。