がぶりえる

デルス・ウザーラのがぶりえるのレビュー・感想・評価

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)
3.8
黒澤明の後期作品にある無常感は唯一無二だということを再確認した。鑑賞後に尾を引く喪失感と虚無感に囚われる。日本映画転落期に差し掛かり、思うように映画製作ができず、一時は自殺未遂を起こすまでにどん底に落ちていた黒澤の自己投影がなされているのだろう。それと同時に黒澤が心の安らぎを求めて映画を撮っていたようにも感じる。そんな黒澤のことを思うと感傷的な気持ちなしには見られない。そんな作品。
それでも前半パートの、文化も生活も異なる主人公2人のハートフルな交流の丁寧な描写が心に沁みた。またみたい。