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日本一のゴマすり男のodyssのレビュー・感想・評価

日本一のゴマすり男(1965年製作の映画)
3.0
【ビュイックってそう言えばあったっけ――クレージーキャッツの時代(その3)】

BS録画にて。

クレージーキャッツの「日本一」シリーズの一編。

植木等が冒頭、珍しくも「これからは実力だよ」と見得を切るものの、現実の会社の厳しさに目覚めて上役にゴマをすりながら仕事で大成功を収めるというお話。

会社組織が、係長、課長、部長、重役、社長、そして親会社の大社長というふうに見事にピラミッド状になっているところが、昭和の味、ですかね。

外車を売る会社って、この頃で言えば法人でなければ大金持ち相手の会社だから、顧客は裕福な人ばかりなはずですけど、映画では社内の人脈などが中心になっていて、そういう点では冒頭の外車の列は見せ金みたいなもの。ビュイックって車、そう言えばあったっけ、でも結局はいつもの路線か・・・と思ったのですが、大社長の娘(中尾ミエ)とセスナ機に、免許もないのに乗ってしまうシーンが秀逸。

これは1965年の映画で、東京オリンピックの次の年ですが、この後日本は飛行機はともかくとして自動車や家電製品をアメリカに売りまくって貿易摩擦を引き起こすわけです。ビュイックみたいなガソリンを食う大型車より、日本のガソリンを食わない小型車のほうがアメリカ人にも受け入れられるようになるわけですから、世の中、先のことは分かりませんね。

停滞の平成を終わって、少子化で衰退の(?)令和を迎えた今、昭和半ば過ぎのこの熱気が懐かしい。
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