サド和尚

ジュブナイルのサド和尚のネタバレレビュー・内容・結末

ジュブナイル(2000年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

山崎貴監督による真のドラエもん凝縮版。発想元は、あるドラエもんの二次創作作品との噂ですが…
後年に作った本家本元印のやつは、本家なのに何かとてつもなく違う感じがします。
どうしてなのか。
さながら、深夜枠では最高だった番組が、ゴールデン枠移動で陳腐化して死んだかの様な。違うか。
…まあそれは置いといて。

お話は、少年が出会う一夏の忘れられないSF的思い出の物語。自分にはこんな感じの思い出はありませんが、何だかいいですねえ。山下達郎さんの曲も手伝って、観終わった後は爽やかなノスタルジーに包まれます。爽やかすぎる。
インドア派でなければ、私にもこんなイベントがあったのかしら。大丈夫、ありません。

また、『ニューヨーク東8番街の奇跡』を少し思い出させるまるっこくて妙にかわいいアイアンタマゴロボ、テトラさんも良いものですが、出番は少ないけれど当時の邦画としては大変気合いの入ったフルCGロボ、ガンゲリオンさんの勇姿も素晴らしい。
画質こそさすがに今では見劣りしますが、名前も躯体も制御系もぜんぶ寄せ集めの機体、というアイデアがまず光ります。
加えて、実写邦画では数少ない二足歩行式巨大半人型ロボなのに、「複眼」「逆関節脚部」「夜戦映えする投光器」「四肢細いのに背負い物がやたらとデカイ」「ヴェロキラプトル並に前傾姿勢」と随分に尖った個性の持主。前のめりは、やはり気概の現れか。
テトラさんとセットでアクションフィギュアはまだですか。出ませんか。そうですか。

主人公側が少年心をくすぐる要素をあれやこれやといっぱいパッチワークしたのに対し、対するエイリアンの目的が侵略とかでなく社運を賭けた事業という大人の事情な対比も、何やら思わせぶりで面白い、正しく夏休み映画として完成されているなかなかの名作品でした。

なんかメカの事ばっかり言ってますが、かつて同じように少年だったろうロボ屋のおじさんと、フューチャーマシンのテトラさんが白昼夢的に会うシーンは、コメディ的な描写なのに何だかじんわりさせられる名場面だと思います。私が相応に歳をとったからかもしれませんが。
サド和尚

サド和尚