メイザ

クィーンのメイザのネタバレレビュー・内容・結末

クィーン(2006年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

ありがちな「誰がダイアナを殺したのか?」的なサスペンスかと思って敬遠してたんですが、どうやら本題はさにあらずらしいと気づいて、あわてて見に行ったところ、これが久々に大当たり!!!!

ダイアナの死から、彼女が国葬に付されるまでの1週間、200年と言う歴史を持つイギリス王室と着任したての首相陣との間に秘密裏に行われた心理的な駆け引きが、イギリスと言う国が持つベーシカルな歴史的背景を通して鮮やかに描かれていく・・・のですが、いや~~!スゴイ見ごたえありました。

主演のヘレン・ミレンはこのエリザベス二世役でオスカーを取ったらしいのですが、受賞もむべなるかなという迫力の存在感。・・・いやいや、恐れ入りました。

ここで題材になっている「ダイアナの死」というのは物語を紐解いていく上でのひとつの契機に過ぎず、この作品で本当に描きたかったのは、現代社会の波に取り残されたエスタブリッシュメントのありようや、EU、ひいては世界という括りの中でのイギリス王室の行く末、というところだったんだろうな。と言うのが私の感想です。

新進気鋭のブレア首相がかなりイイモン扱いされすぎるのがかな~~り鼻につきますが、いずれにしても、こういう映画って同じ王室システムが現存する日本では絶対に作れない。というかタブーだよな。あり得ん。さすが。言う感じです。
コレだけ踏み込んだ表現をしていながら、監督も脚本もイギリス人なのよ。びっくり。

しかしね、映画の内容には関係なんですが、ナニが度肝を抜かれたって、彼らがいまだに持つその荘園のスケールのでかさですよ!!!!

んもう物凄くスゴイ!!

イギリスの誇る、(かのベッカム夫妻の愛車としても名高い)レンジローこと「RANGE ROVER」が、もともとイギリス貴族たちがその領内を回るときに乗っていたクルマであるというのは既聞ではありましたが、その「荘園」がここまでのスケールだったとは!!(笑)

道、ケモノ道!!橋、ないし!!みたいな。
そりゃ~こういう車も必要だわね。と、思わずナットク。

しかもこのゴツい車を女王陛下自らが領地内を乗り回しているというのがさらに驚愕。
「領有」という意識がまだまだ色濃く残っている欧州貴族って・・・逞しいね。
このレンジローを操って疾駆していた女王が偶然邂逅した気高い牡鹿は、きっと彼女自らの姿の投影だったんだろうな・・・。

ともあれ、今年一番のオススメ。

2008年9月2日
メイザ

メイザ